高山植物図鑑

Alpine plant

  • チョウノスケソウ(長之助草)

    チョウノスケソウ(長之助草)

    科名 バラ科
    観察ポイント 極楽平
    開花の期間
    極楽平付近で見ることができます。やや希な植物といわれています。

    朝露にぬれ、日の光を浴びてキラキラ光る様子はとても美しく、風情たっぷり。ごく小さな草状の落葉樹で、花弁は通常8枚。種子には長い毛がつきます。枝は地をはって分かれてマット状に広がり、裏に綿毛を密集させる葉は長さ1~2.5cmのだ円形。また、高山植物では珍しく、須川長之助さんという人名にその名が由来します。

  • シナノキンバイ(信濃金梅)

    シナノキンバイ(信濃金梅)

    科名 キンボウゲ科
    観察ポイント 千畳敷カール, 八丁坂
    開花の期間
    絵を描く人は必ずはずせない花ではないでしょうか。ミヤマキンバイと同じく黄色い可憐な花を揺らして、人々の目を楽しませてやみません。

    キンバイソウ属の多年草。信濃とは、もちろん長野県。県内に多い花なので、この和名となりました。黄金色の花は径3.5~4.5mm。大きさ、形とも不ぞろいの花びらはガク片が変化したもので、花弁は大変小さく、雄しべよりも短め。そのため、開花前は緑色を帯びます。茎は直立して太く、葉は手のひら状に5裂します。

  • チングルマ(珍車、稚児車)

    チングルマ(珍車、稚児車)

    科名 バラ科
    観察ポイント 千畳敷カール, 極楽平, 本岳
    開花の期間
    群生して風に揺られる様子はなんとも可愛らしく、花が終わり秋を迎えるとそこには綿毛をまとった『チングルマの秋の姿』を見ることができます。

    ユニークな名の由来は、子どものおもちゃの風車。実の形が似ており、「稚児車(ちごくるま)」から転じてつけられたといいます。葉の長さは6~10cmほど。枝は地面をはい、群生して花畑をつくります。花の色は白。花茎の先に愛らしく一輪を咲かせます。花弁は5枚で、たくさんの黄色い雌しべと雄しべがあり、また花後には、花柱が伸びて放射状に広がります。

  • ミヤマクロユリ(深山黒百合)

    ミヤマクロユリ(深山黒百合)

    科名 ユリ科
    観察ポイント 千畳敷カール
    開花の期間
    中央アルプスに訪れた人や登山に行く人を、そっと陰から見守っている… そんな静かなお花です。

    高山帯の草地に自生しているバイモ属の植物(母種のクロユリの高山型)。「ブラックサレナ」とも呼ばれます。暗い紫褐色で鐘型の花が美しく、かつユニーク。茎の先に1~2個つき、黄色の細かい斑点も見られます。地下にりん茎があり、茎の長さは10~30cmに。葉は互生しますが、接近して2~3段の輪生状につきます。

  • コイワカガミ(小岩鏡)

    コイワカガミ(小岩鏡)

    科名 イワウメ科
    観察ポイント 千畳敷カール
    開花の期間
    淡紅色の美しい花冠をかぶった姿がとても可愛らしく魅力的

    「岩鏡」と呼ぶのは、葉に光沢があるところから。その葉は常緑で、長さ幅とも2~4cmの円形。茎の先に2~4個の花を咲かせます。 花後には赤みがかった実ができ、また、葉も秋には赤くなり冬を越します。

  • イワウメ(岩梅)

    イワウメ(岩梅)

    科名 イワウメ科
    観察ポイント 極楽平, 中岳
    開花の期間
    梅雨が明けて、夏山のシーズンには咲き終わりの状態ですが、梅雨の晴れ間の強い日差しに、まぶしく輝いています。

    その名は、岩場に自生して梅の花に似た花をつけるところに由来。主に、尾根付近の岩場や砂れき地に張り付くように生えています。秋には紅葉も。葉は長さ6~10mmのだ円形。花は乳黄白色で、まれに淡い紅色を帯び、上向きに咲きます。横にはう枝は、厚い革質の葉が密生するためクッション状となり、一見しただけでは木本とは思えません。

  • タカネザクラ(高嶺桜)

    タカネザクラ(高嶺桜)

    科名 バラ科
    観察ポイント 剣ヶ池付近
    開花の期間
    桜の中で最も標高の高いところに生えるといわれております。日本で最も遅く咲く桜です。

    野生種の桜で、別名・峰桜(ミネザクラ)。花は、色が薄い紅から白。芯にいくほど色合いが濃くなります。また、花の大きさは径2~3cm。気候的に涼しい山腹などを好んで自生しています。本州中部以北に見られ、南にあるほど高山域を好むようです。樹木としてはあまり大きく育たず、小高木か中高木程度。樹高は高くとも5~10mです。

  • ショウジョウバカマ(猩々袴)

    ショウジョウバカマ(猩々袴)

    科名 ユリ科
    観察ポイント 千畳敷カール, 極楽平
    開花の期間
    地味に見えがちなお花ですが、お花も茎もやわらかく、風にまけてしまいそうだけど頑張っている姿が不思議と愛らしく感じます。

    猩々とは、中国の空想上の動物。猿に似て人の言葉が分かり、酒を好むといいます。この花は、酒に酔った顔色を想像させる赤い花と、まるで袴のような葉の姿から、その名がついたそう。葉は、冬も枯れないで根際から放射状に多数出ます。それぞれ長さ5~10cmで先端がとがっています。ただ花の方は、時がたつと色があせて汚れた黄緑色に。低地にも生えます。

  • キバナシャクナゲ(黄花石楠花)

    キバナシャクナゲ(黄花石楠花)

    科名 ツツジ科
    観察ポイント 極楽平, 前岳, 本岳
    開花の期間
    この花を見たくて登山をする人も多く、高嶺の花ともいわれています。

    枝が曲がっていて真っ直ぐな部分が1尺(約30.3cm)にもならないことから「シャクナシ」、これがなまった言葉が「シャクナゲ」とも。この花は径2.5~3cmで、普通は淡い黄色ですが、白色や、ごく淡い桃色のものも見られます。葉は輪生状に枝先に多数つき、長さ3~6cm。上面には脈がくぼんでで小じわができます。常緑の低木。

  • ミヤマキンバイ(深山金梅)

    ミヤマキンバイ(深山金梅)

    科名 バラ科
    観察ポイント 千畳敷カール, 極楽平
    開花の期間
    山の風雨に曝されながら健気に生きている高山植物の一つとして、力強く咲いている様子は、下界では味わえない花のパワーを与えてくれます。

    砂地や草地に多く自生しているキジムシロ属の多年草。葉はイチゴの葉にて柄の先に3枚つき、はっきり分かるギザギザがあります。花は径2cmほどで、花弁は鮮やかな黄色で基部は濃色。根茎は、短く横に分枝して大株になります。